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窓辺のハナミズキ ― いつもの窓から、いつもの景色を ―

[施設の暮らし]
廊下のいちばん端、大きな窓に面した一画。陽がよくまわるこの場所が、Mさんのお気に入りです。手元には膝掛け、傍らには小さな丸テーブル。車椅子をそっと窓辺に寄せて、Mさんは外の景色をじっと見つめておられました。
「お庭、よく見えますか?」と職員が声をかけると、Mさんは小さくうなずかれます。

視線の先には、白とピンクの花を枝いっぱいにつけたハナミズキ。風が通るたび、花びらがふわりと揺れます。

何かを語るでもなく、ただ、しずかに眺める時間。けれどその横顔は、どこか遠くを見ているようでもありました。
Mさんは、いこいの森にいらっしゃる前まで、ご自宅の庭で長く花を育てていらしたそうです。季節ごとに違う表情を見せる庭の手入れは、毎日の小さな仕事であり、楽しみでもありました。

土の感触、花の香り、葉のそよぎ。手を動かしながら過ごした時間は、ご本人の中にいまもしっかりと息づいているのだろうと思います。窓越しに花を見つめるその静けさには、見ているのか、思い出しているのか、その両方なのか――そんな気配がありました。


庭ではツツジも見頃を迎えていました。鮮やかな紅色がやわらかな春の緑にひときわ映えて、廊下を歩くたびに目を引きます。

特別な行事があるわけではない、普通の一日。陽だまりの窓辺で、お気に入りの場所から外の花を眺める。

いこいの森西原が大切にしている「普通の暮らし」とは、こうしたささやかな時間を、ささやかなまま続けていけることなのかもしれません。
(2026.4.25)
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