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【ひだまり図書室 Vol.6】『おかあさん だいっきらい』

[ひだまり図書室]
こんにちは、いこいの森西原のブログ担当です。

5月になり、すっかり春めいてきましたね。この時期の大切なイベントといえば「母の日」です。5月の第2日曜日が近づくと、花屋さんの店先にたくさんのカーネーションが並びます。

今回の「ひだまり図書室」でご紹介するのは、母の日にちなんだ一冊です。

タイトルだけ見ると少し驚いてしまうかもしれません。でも、自分が小さかった頃を思い出しながら読んでみると、「そうそう、こんなこと、あったあった」と、共感しまくること確実です。
書誌情報
書名:おかあさん だいっきらい
作:安藤 美紀夫
画:長谷川 知子
出版社:童心社
初版年:1978年

作者の安藤美紀夫は、国際アンデルセン賞・野間児童文芸賞など数々の賞を受けた児童文学作家です。1978年に童心社から刊行されたこの作品は、のちにフォア文庫にも収録されるなど、長く読み継がれてきた名作です。

なお、この本は絵本ではありません。文章で物語をしっかり表現しているいわゆる「児童書」にあたります。


大切な友達から絶交を宣言されたのは、なぜ?
本作の主人公は、小学2年生の女の子・ちかちゃん。

ちかちゃんには、大切な友だちでクラスメートの「たかしくん」がいます。

でもおかあさんは、たかしくんのことをなぜかよく思わず、ちかちゃんが一緒に遊ぼうとするといつも難色を示します。

ある日、おかあさんがたかしくんの家に怒鳴り込んでしまったことで、ちかちゃんはたかしくんから絶交されてしまうのです。

学校の参観日、運動会、夏休み――それぞれの場面で、おかあさんとちかちゃんはすれ違いを続けます。

おかあさんが抱える「親としての気持ち」はどんどん空回りして、ちかちゃんとの距離は遠くなるばかり。

一見するとおかあさんの行動はちょっと身勝手なように思えるかもしれませんが、読み進めると、おかあさんの行動の背後に不器用な愛情がにじんでいることが少しずつ見えてきます。
お母さんもまた、一人の人間
おとうさんの長期出張、PTAの役員仕事、子どもの成績や友だち関係への心配――おかあさんは、たくさんのことを一人で抱えながら毎日を走り続けています。だから余裕がなくて、ときに感情が先走ってしまうのです。

そういうおかあさんの内側が、ちかちゃんの目を通してじんわりと浮かび上がってくるとき、読んでいる大人は「ああ、これは自分のことかもしれない」と思うのではないでしょうか。

物語の後半、たかしくんが交通事故に遭う場面があります。おかあさんはそれまでの自分のふるまいを静かに見つめ直します。

劇的な変化ではありません。ただ、ゆっくりと、母と子のあいだに小さなあたたかさが戻ってくる――決して押しつけがましくない、抑制された親としての気持ちが、この作品を最後の最後で心地よいエンディングへと導いてくれます。
「だいっきらい」は、近くにいるから言える言葉
タイトルの「だいっきらい」という言葉は、一見すると強烈に聞こえます。

でも、嫌いと言えるのは、それだけ近くにいるから。無関心な相手には、人はこんな言葉を使いません。

ちかちゃんのその気持ちは、裏を返せば、おかあさんへの深い関わりそのものです。

入居者様のなかには、長い人生の中でお母さんとの複雑な思い出を抱えてこられた方も、いらっしゃるかもしれません。

あるいは、自分がお母さんだった日々を思い出される方も・・・?

この本は、どちらの立場からも深く共感しながら読める、母と子のための小さな物語です。

ひだまり図書室でご紹介する絵本や児童書は、いこいの森西原の1階「まこと庵」に置いてあります。お越しの際は、どうぞゆっくりと手に取ってみてください。

今回はここまで。 次回のひだまり図書室も、どうぞお楽しみに。
(2026.5.11執筆)
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