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19年間、ありがとうございました!

[施設の別れ]

「8月31日か。1年が本当に早いなあ・・・。」

そんなことを考えながら仕事をしていたら、有給を消化したK事務長がひょいと出勤されました。

事務長は8月いっぱいでいこいの森西原を退職します。私たち職員と事務長が同じ職場で仕事をするのは今日で最後です。といっても仕事らしい仕事はせず、なにやら手荷物を持参されている様子。

事務長からのお土産で、事務室の職員全員においしそうな蕎麦やうどんをいただきました!

新人の私も、わずか7か月でしたが、事務長とともにいこいの森西原の業務にかかわることができました。業務の守備範囲が違うため、直接やりとりする機会は多くありませんでしたが、それでもどこか憎めない事務長のキャラクターもあいまって、とても名残惜しく思います。

事務長からの最後のことづけとして、事務長と一緒に仕事をすることも多かったK君へ渡す品物を預かりました。どうやらホースと水道の蛇口をつなぐ器具のようです。

「K君に渡しておいてね。いろいろ探したんだけど、これしかなくてさあ」と事務長。
事務長の机は、有給休暇に入る前に片づけられていました。
19年分の荷物があったはずですが、今はもう、ここに何が置かれていたのかを思い出すのが難しいくらいです。

19年、という数字を少し考えてみます。

介護保険制度が始まったのが2000年ですから、事務長はその歴史の大半を、この施設の事務方として過ごしたことになります。その間、法改正も報酬改定も何度もありました。制度が変わるたび、書類の様式が変わり、計算の根拠が変わり、説明の仕方が変わります。事務の仕事は、そのたびに一から組み直しです。

一方で、変わらないものもあります。利用者の皆様の一日は、制度がどう変わろうと、同じように始まって同じように終わります。朝が来て、食事があって、お風呂があって、夜が来る。事務長が19年のあいだ支えていたのは、この「変わらないほう」でした。

写真は『うたごえ喫茶』での一枚です。おしゃべりしたり歌を口ずさんだりすることは、気分転換になり、お口や呼吸器のリハビリにもなるそうです。事務方でありながら、こうして入居者の皆さまの前に立つ日もありました。

福祉施設の仕事には、目に見える成果物があまりありません。

建物が建つわけでも、何かが売れるわけでもない。19年勤めても、そこに記念碑が立つわけではありません。残るのは「今日も、特に何も起きずに一日が終わった」という事実の積み重ねだけです。

けれど、その「何も起きなかった」を毎日つくるために、たくさんの人が動いています。数字を合わせ、書類を整え、備品を手配し、水道が出るかを確かめる。私たちの施設が大切にしている「普通の暮らし」というのは、そういう地味な作業の上に成り立つものなのだと、この7か月で少しだけ分かってきました。

19年間、それを続けるというのは、そう簡単なことではないはずです。

ところで、事務長はなかなかの趣味人でもあります。

歴史、カメラ、釣り、そして茶道。施設の交流スペースに即席のお茶室をしつらえて、入居者様の前でお点前を披露する、なんてこともありました。

知識がとても豊富な事務長は、話し始めると止まらない分野がいくつもあって、事務室でその一端をうかがうたびに、「この人はいつ仕事をしているのだろう」と思ったものです。


退職後のことは、直接うかがったわけではありません。

ただ、あれだけ多趣味な方ですから、当分は退屈せずに済むのではないかと、勝手に想像しています。
どこかの川べりで釣り糸を垂らしているか、首からカメラを提げて古い街道を歩いているか・・・。


事務長。

19年間、ありがとうございました。
そして、お疲れさまでした。

またふらっと、ひょいっと顔を出してくださいね。
ついでに壊れた車いすの修理とかしていただけると助かります。笑
(執筆2026.8.31)

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